第4回:植物からみた人の営み
■はじめに
第3回までの市民講座では3〜4名の講師が話題を提供しましたが,これに対して「それぞれの内容をもっと詳しく知りたい」というご意見を多くいただきました。また,おかげさまで前回の市民講座でも会場がほぼ満席になりました。そこで,今回は思い切って300名までの会場で,お二人の講師による講演をじっくりと聞いていただくことにしました。
テーマは人の営みと植物です。フクジュソウの生育や森や林の成り立ちが人の活動とどのように関連しているか,生態学の視点(してん)から岩手の自然を見直す楽しさを満喫(まんきつ)していただければと思います。
■フクジュソウはどんな場所に生えているか?−農村の人の暮らしとの関わり
島田 直明(しまだ なおあき)岩手県立大学総合政策)

早春のころ、春を知らせてくれる花の一つはフクジュソウではないでしょうか。
岩手では一般的にみられる植物ですが、全国的には減少していると言われています。田畑や水路のあぜなどの多くみられるフクジュソウですが,その生育している場所にも一定のルールがあるようです。農村の人の営みとの関係からフクジュソウの生育環境について考えていこうと思います。
■人の営みが作ってきた北上山地の森林
大住 克博(おおすみ かつひろ)森林総合研究所関西支所

北上山地には広大な森林が広がり、この地域の豊かな自然を支えています。
しかし、それらの多くの森林・・・例えば人が植えたカラマツ林はもちろんのこと、白樺林やナラの林なども、実は長い間の人の森林への関わりにより、できあがってきたものなのです。北上山地の森林に残された人の営みの足跡を、白樺林などを例にしながら紹介します。