2010年3月9日の東京新聞(中日新聞)の記事について
2010年3月9日の東京新聞(中日新聞)に「スズメが激減 50年で10分の1に」という記事が掲載されました。
この中につぎのような記述があります。「環境省は、かつてどこででも見かけたスズメが1960年ごろに比べ10分の1に激減しているとの調査結果をまとめた。」
この記事の中で述べられている「環境省が調べたことになっている内容」ですが、奇妙なことに、私(三上)の論文「日本におけるスズメの個体数減少の実態」の内容に酷似しています。
私に対する問い合わせもあり、私自身も不思議に思いましたので、環境省の担当の方や実際に記事を書かれた方にも問い合わせをしました。また知人を通じて情報を集めてもらいました。その結果、およそ次のようなことが判明しました。「環境省が作成したある報告書(案)の中に上記の論文内容が掲載されていた。それをみた東京新聞の記者の方が、環境省による調査結果であるとみなして記事にまとめた。」
ですから、内容が似ているのは当然なのです。
なお、環境省の担当の方によると、これまで環境省がスズメについて独自に調査結果をまとめたことはないそうです。
また上記の記事の中では「同省生物多様性センターは・・・中略・・・生息数を細かく把握し、どうすれば減少を食い止められるかを検討する。」ことになっていますが、そういった予定もないそうです。
ですので、ご注意ください。
でも、これは「ひょうたんから駒」になるかもしれません。おそらくスズメの調査結果は、報告書案内においてほんの小さなスペースしか割かれていなかったと思われます。それが今回の件で話題になりましたから、これをきっかけに環境省にご協力いただき、研究を進めていけるかもしれません。
また今回のことで、スズメの減少についての研究を急がなくてはならないと改めて感じました。というのも、私が記事の内容に関わるれるうちは、いたずらに危機を煽らないような文面にするようお願いすることができます。しかし、いったん私の手元を離れてしまえば、スズメの減少が事実のように扱われてしまいます。スズメが本当に減少しているかは、まだわかっていません。もちろん私は減少していると思っています。しかし、客観的にみれば1人の研究者が主張しているにすぎないのです。減少していると結論付けるには、もう少し慎重さが必要です。具体的には、もっと多面的なデータを集めて解析することです。そういった解析を急ぎ進めて、スズメの減少の裏づけを進めていくことが重要です。